落魄の月

よしなしごと

『それは運命の恋だから』月村奎

 小説Dear+購読してるので、そういえば雑誌掲載で読んだなと思い返しつつ。

 

 ゲイであることを隠し普段はクールな独身主義を演じる主人公は、その実ロマンス小説の愛読者でありいつかは運命的な恋をしてみたいとおもっている。しかし現実にそんなロマンスは望めず、諦めて現実的な同性愛者限定のお見合いパーティーに出席する。そこで一目で惚れた好みの男性とであうものの、同じ席についての会話は終始無言。他の相手もあまりいいともおもえなかったのだが、最後の投票でその相手とカップルが成立する。一方、主人公が一目惚れした相手は従弟のつきあいで参加しただけでのノンケであった。パーティーの後、事情を説明しようと主人公を喫茶店に誘うが、恋愛に関して自信の無い主人公がカップル成立に感涙してしまい説明する機会を逸してしまう。

 

 月村奎の主人公としは頻出する、容姿はすごくいいのに恋愛下手かあるいはトラウマがあるタイプ。恋愛事に関する自己評価は常にひくく、相手の好意を素直にうけとれず、終始びくつく。『恋する臆病者』とか『CHERRY』あたりがそんな感じ。この主人公もご多分に漏れず、相手がもとノンケだと知り話も聞かずに暴走する。『CHERRY』の主人公は大学生だし、まぁなんか虚勢を張るのもかわいいかなという気分もあるが、この主人公はわりといい大人だし、相手の愛情は疑いようもなくかけられているし、めんどくさいなという印象。

 

 従弟のほうがよほどかわいげがあるんじゃないかとおもいました。書き下ろしが従弟の話。