落魄の月

よしなしごと

『びんぼう草の君』小鳥屋りと子 

 高校時代に好きだった相手と気まずいわかれをし、大人になって思わぬ場所で再会するという、BL鉄板の出だし。かつていい家の息子だった主人公は父の死によって借金を背負いそれを返済する日々で、一方貧しい家庭に育っていた相手は遺産が転がり込み研究員として生活している。立場が入れ替わり自分を恥じる主人公に対して、かつてと変わらず接してくる相手にまた恋をしてしまう、というこれもまた鉄板ネタ。

 ていねいにかかれていて、キャラの生い立ちや心情といった部分がよく伝わってくる。繊細なBL作品が好きなひとにはおすすめしたい。劇的な展開などはないが、じっくりと楽しむにはぴったり。